UI/UX 対談

ロジカルなデザインでシンプレクスを拡張したい

――UI/UXコンピテンシーインタビュー

企業が提供するサービスやプロダクトと、ユーザーとの接点を意味するUI(User Interface)。Webサイトやアプリケーションでは、デザイン性や操作性を指すことが一般的だ。一方User Experienceの略であるUXは、UIを含めたプロダクトやサービスで得られる、文字通りすべての「ユーザー体験」を意味する。
今回UI/UXデザインコンサルタントであり、また「UI/UXコンピテンシー」という組織を率いる Junpei と Keita にシンプレクスが提供するUI/UXを語ってもらった。
二人は同期。「Keita はロジカルシンキングが本当に強くて、妥協を一切しない」「クライアントの真のニーズを確実に掴み、的確なフレーズでキレのある提案でゴールを決めるのがJunpei」。そう認め合うライバルにしてビジネスパートナーである。

Junpei T.

2010年新卒入社
クロスフロンティアディビジョン所属
シニア・マネージャー
UI/UXデザインコンサルタント

Keita S.

2010年新卒入社
クロスフロンティアディビジョン所属
UI/UXデザインコンサルタント

CHAPTER 01 ビジネス戦略やユーザーの体験価値まで踏み込んでデザインする。

Q:UI/UXという言葉は幅広い意味を持っていますが、シンプレクスのUI/UXの領域を、お二人の業務に即して教えていただけますか。

Junpei

シンプレクスは金融機関向けの業務システムを提供しているイメージが強いかもしれませんが、実は10年以上前からBtoBtoCサービス、つまり実際に株やFXの取引をする個人投資家ユーザー向けのサービスを提供しています。私は入社以来、証券会社向けシステムを手掛けています。お客さんはネット証券から対面でサービスを提供する大手企業、ベンチャー系までいろいろで、扱っている商品も株・投資信託・先物・オプションとさまざまなので、ユーザーの幅が広いというのが特徴です。そういった領域を担当しているので、常にユーザー起点でサービスやプロダクトをデザインし開発することが、シンプレクスのUI/UXデザインだと思っています。

Keita

私は、FXや暗号資産の領域が中心で、機関投資家から個人投資家まで幅広いユーザーを想定しながらシステムを開発してきました。デザインといっても単なる絵づくりといった表面的なことではなくて、クライアントのビジネス戦略やユーザーの体験価値は何か?といったところまで踏み込んで構築していきます。業務領域も広くて、デザインコンサルティングから始まり要件定義、設計開発、テスト、システムリリース後の運用保守まで一貫して行います。

Junpei

異なる事業領域でしたが、“ユーザーの体験”にフォーカスしてきた我々は「UI/UXコンピテンシー」の立ち上げを担うことになりました。テクノロジーの進歩、金融サービスのコモディティ化といったマーケット変化の影響もあり、色々な局面で“ユーザー体験を考える”必要性が高まってきていて、「これまでのサービスとは非連続な機能をつけたい」とか、「UIを大幅にリニューアルしたい」といったご要望を多くいただくようになりました。通常はクライアントの要望に対しては既存のプロジェクトチームで対応するのですが、UI/UX領域のノウハウが足りないときに、我々UI/UXコンピテンシーに声が掛かります。要件が不明瞭になりがちなUI/UXプロジェクトの進め方をコーチするなどメンバーを育てながら、プロジェクトに伴走、支援しています。
最近は、コンピテンシーとしてのビジネス活動もしています。システム化のご相談ではなく、UI/UXデザインコンサルティング単体でご相談をいただく機会も増えてきました。もちろん、デザインコンサルティングだけでなく、後続のシステム開発や運用改善までつながるような提案を行っています。

CHAPTER 02 UI/UXの強化こそ、クライアントが新たな価値を生み出す鍵となる。

Q:UI/UXは、クライアントにとってどんな重要性を持つのですか?

Keita

ハイリスクな商品性というのもあって、これまでFXや暗号資産取引のユーザーは基本的には金融取引に慣れた人が多かったんです。そのためシステムに求められたのは、複雑で多岐にわたる作業がショートカットできる効率的なシステム、という感じでした。
けれど最近は、これまでFXや暗号資産取引をやってこなかった層もやるようになっているので、金融リテラシーが高くない“投資初心者”が使いやすいサービス設計の需要が高まってきました。そのため、FXや暗号資産取引のプラットフォームを提供している事業者は、生き残りをかけてUI/UXを強化することで新たな価値を生み出していく必要性があるんです。

Junpei

証券会社にとってもUI/UXの重要度は高まっていますね。
これまで証券系のシステムは、堅牢性や機能性といった面が最重要視されてきたんですが、個人投資家向けのサービスがいろいろ誕生し、またデジタルネイティブ世代も育ってきている中で、平たく言うと「ユーザーの目が肥えてきている」状況になりました。こういったマーケット変化に対応しきれていない危機感をお客さんと共有し、今まで以上にUI/UXに積極的に取り組んでいこうというムードが高まっています。もともと、クライアントの業務を深く理解している我々がUI/UX領域についてもお客さんと同じ温度感で課題意識を持つことができているということが、デザインコンサルティングからシステム開発までを一気通貫で任せてもらえるようになったポイントかもしれません。

Keita

私たちが特に意識しているのは「より良いサービスを作るにはどうしたらいいか」ということです。つまり、「(サービスを)使ってくれているユーザーのことを考える」ことと同義ですね。例えば、ユーザーインタビューを行い生の声を収集することや、既存サービスがある場合はデータ分析からサービスがどのように使われているかを整理することで、“ファクト”を積み上げながらユーザーのニーズについて仮説を立ててシステムに落とし込んでいきます。とはいえ、システムが完成したとしてもその時点ではまだ仮説にすぎないため、実際に運用していく中で「仮説は正しかったのか?」を検証していくことが大事なんです。

CHAPTER 03 ロジカルなデザインを武器に、改善活動まで支援できる強さ。

Q:シンプレクスのUI/UXコンサルティング・デザインの強みとは何でしょう?

Junpei

先ほどお話ししたUI/UXデザインコンサルティングだけでなく、要件定義、開発、テスト、運用保守までを一貫してやっているのは強みだと思っています。先ほどの話にもありましたが、UI/UXを支援していく上で重要なのはプロダクトやサービスをリリースした後に、実際のユーザーの使い方の検証や継続的な改善活動をクライアントに伴走していくことですから、最上流から下流までを一気通貫で担うことができる我々にアドバンテージがあると考えています。

Keita

まさにそうだと思います。
システム開発・運用の実績が豊富だからこそ、「(システムを)作ったあと、どうなりそうか」の勘所を押さえた上でプロセスデザインを行うことができるのはシンプレクスならではの強みですね。

Junpei

あと、お客さんの業務に必要不可欠なミッションクリティカルなシステムづくりを、日本を代表するような金融機関向けに行ってきた経験は、UI/UXのプロジェクトを推進していく上で活きているなと思います。システムに関するちょっとした変更が発生したとすると、必ず根拠・理由を提示することが求められるので、UI/UXにおいても「なぜそのデザインか」という根拠を当たり前のように考える習慣がありますね。

Keita

それも同感です。本格的にUI/UXをやるようになって感じたのは、「自分がいいと思うものを打ち出せば良い訳ではない」ということ。ビジネスを成功させるためのデザインは、センスや主観に頼るんじゃなくてロジックで考えていくべきだと思っていて、だからこそ、ロジカルシンキングが習慣化している人材が多いシンプレクスは業種問わずどの会社にとっても強力なビジネスパートナーになっていけると思いますし、そうなりたいですね。

Junpei

これからもっと大きい価値を提供していくためにも、UI/UXコンピテンシーとしては人材育成にも注力していきます。そもそもUI/UX人材が労働市場に少ないというのもありますが、システム開発やコンサルティングの経験を通じて論理的に考えられる人が多いという自社の特徴を最大限活かしていきたいところです。

CHAPTER 04 ユーザー体験とビジネス価値を、誰よりもピュアに追究する。

Q:UI/UXデザインコンサルタントに求められるものは何でしょう。

Keita

基本的には、最初にシステム開発や運用、クライアントとの折衝経験などを積んだうえで、さらにその先のキャリアステップの位置付けだと思っています。先ほども言ったかもしれませんが、UI/UX領域をやっていくには、「より良いサービスを作りたい」「ユーザーに価値のあるサービスを届けたい」と思えるピュアさが必要なのかなと思います。
本質的には、どんなビジネスもユーザー体験を考えることが大事だと思うんです。クライアントの顔色を窺って調子を合わせていればビジネスとして成り立つこともあるかもしれませんが、ユーザーの立場になって忖度せずにクライアントに意見を伝えなければならないことだってある。そういう仕事をやりたいと思うかどうかですね。忖度しないことによって単純に仕事が増えることはあるんですが(笑)。

Junpei

個人的に一番大事だと思うのは“妥協しない”ことですかね。こうしたらいい、という正解がどこにもない仕事だからこそ、妥協なく考えて追究することが大切になります。
また、ちょっと視点を変えて、自前のサービスを持っている事業会社ではなく、あえてシンプレクスでUI/UX領域に取り組む魅力は、クライアントワークを通して多様なビジネスモデルやサービスに関わることができるということだと思っています。お客さんの大事なビジネスを預からせてもらうやりがいもあるし、ユーザーのことを思って忖度せずに意見を言うなんていうのは、クライアント企業に在籍していない第三者だからこそできるんです。そういうことをやりたいと思える人、あとは、さまざまなビジネスモデルやサービスに関わる仕事という点で、ビジネスそのものへの興味が強い人がいいのかもしれませんね。

――ありがとうございました。

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