「スゴイ。ワクワク。」を生み出すナレッジシェアの本気度
――SD(システムデベロップメント)コンピテンシーインタビュー
創業以来、複雑な計算を短時間で行うデリバティブシステムや、マイクロ秒で受発注可能な株式トレーディングシステムなど、高い技術を必要とするソフトウェア、製品・サービスを開発し顧客へ提供してきたシンプレクスの競合優位性は圧倒的なシステム開発力の高さにあるといっても過言ではない。
SD(システムデベロップメント)コンピテンシーは、シンプレクスの中でも技術力の高さを評価されている精鋭メンバーからなる全社横断組織。ソフトウェア開発技術の視点から、シンプレクスの成長とイノベーションの実現に貢献することがそのミッションである。
ミッションの実現のため、ソフトウェア開発や技術に強い社員の横のつながりをつくり、さらなる技術力向上や社内への技術発信を行うためのさまざまな活動を行っている。
今回、SDコンピテンシーの2人に、「Simplex Tech Day(以下Tech Day)」というイベントを中心にした活動の内容、組織の今後などについて語ってもらった。
Hiroshi I.
2005年中途入社
クロスフロンティアディビジョン所属
SDコンピテンシーリード
Yuta S.
2007年新卒入社
クロスフロンティアディビジョン所属
SDコンピテンシー/新人研修リード
CHAPTER 01 主な取組み内容は、高難度プロジェクトの技術リードとR&D。また、育成・研修も担う。
Q:はじめに、SDコンピテンシーの概要について教えてください。
Hiroshi
SDコンピテンシーは、ソフトウェア開発のエキスパートであるベテランエンジニア約10人で2018年に結成されました。現在は、ベテランエンジニアの参画が20人に拡大し、次世代メンバーの育成も兼ねて、中堅・若手クラスのエンジニアも40人ほど加わっています。
活動内容として、難易度が高く新しい技術の活用が必要なプロジェクトにSDコンピテンシーメンバーが参画し、技術面で牽引、サポートする役割を担います。コンピテンシー全体として、これからシンプレクスに必要となる先端技術について、社内の他部署に先駆けて取り組むR&D的な活動も行っています。また、ベテランが中心となって行う育成、研修も重要な役割の一つです。新卒入社者向けの技術研修や、入社2、3年目の若手層向けの研修、ハイレベル層向けの研修など、全社の技術力を底上げする役割を担っています。また、プロジェクトの成功事例を横展開(例えば、ベストプラクティスの共有やソフトウェア・ライブラリの汎用化や磨き上げなど)することで、他のプロジェクトでも応用できるようにする動きも、ベテランが中心となって行っています。
私は、SDコンピテンシーのリードとして、全社的な技術戦略の在り方や進んでいくべき方向性の検討を経営陣とともに行いつつ、コンピテンシーのミッションを実現していくための計画策定を行う役割を担っています。
Yuta
私は、プロジェクトにおける技術リードとしての役割と、コンピテンシーとしての活動を半々で行っています。
コンピテンシーの活動としては大きく二つあり、一つは育成です。SDの観点での新人、若手向け研修、AWSなど技術に特化したより専門的な研修など、研修全般について企画、運営を行っています。講師として、講義、指導に当たることもあります。
もう一つ担当しているのが、Tech Dayなど社内コミュニティイベントの企画、運営です。
CHAPTER 02 Tech Dayは、社員の半数以上が参加する技術カンファレンス。
Q:そのTech Dayについて、概要を教えてください。
Yuta
Tech Dayは、社員の半数以上、400~500名ほどが参加する技術カンファレンスです。これまで2021年8月と12月に開催し、それぞれ半日をかけて10のセッションが行われました。
登壇者は30~40分間で技術に関するプレゼンテーションを行うのがメインのプログラム。ほかに、社外からの登壇やパネルディスカッションなどもあります。エンジニアに限らず、すべての社員が対象で、技術に強いメンバーからビジネスに興味・関心の高いメンバーまで、それぞれに適したセッションが提供されます。
開催に向けて、3ヵ月ほど前から準備を始めます。自薦/他薦を問わず社内公募した登壇者と、我々運営委員が話し合いながら具体的なコンテンツを決定します。その後1ヵ月半ほどかけて資料を作成し、運営委員やコンピテンシーメンバーのチェック、リハーサルを経て本番となります。
Hiroshi
Tech
Dayは、SDコンピテンシー内で行っていたナレッジ共有の取組みが発端です。コンピテンシー結成当初は、月1回、1時間ほどをかけて自分の知見を発表し、他のメンバーにシェアする活動をしていました。しかし、コンピテンシーの限られたメンバーだけがプレゼンテーションするだけではなく、より多くのメンバーにも参加してもらうことで影響範囲を拡大したいと考えたのです。
自分たちの会社が、新しい技術を活用し顧客に品質の高いサービスを提供しているという事実は、エンジニアとしてもやりがいを感じますし自分たちの存在意義の再確認にもつながります。それらを感じられるように、ナレッジ共有の輪を広げ、若手、中堅層も含めたエンジニアが所属組織の枠を超えて技術トピックスや自社の取り組み事例を共有できる場にしたのです。
自社の技術的な取り組み事例については、エンジニア以外の社員に対しても共有する必要性も感じていました。というのも、例えば顧客に当社サービスを提案するコンサルタントの技術知見が不足していたり断片的だったりすることで、シンプレクス本来の力を発揮しきれないような状況が発生することを避けたかったからです。
エンジニア以外の社員にもテクノロジーを意識してもらいつつ、全社として技術力の底上げにつながるようなものを。——Tech Dayが全社規模のイベントになったのは、こうした理由があるんです。
CHAPTER 03 「スゴイ。ワクワク。」は、SD全体の目指すものでもある。
Q:Tech Dayのコンセプトは、「スゴイ。ワクワク。」ですが、これにはどういう思いが込められていますか。
Yuta
見た人が「スゴイ」と思う、あるいは、知らないことを知ることができて「ワクワク」する。そういう経験を提供する場にしたいという想いがあります。
そのため、「スゴイ。ワクワク。」に沿うものであれば、細かいテーマは設けていません。実際、これまでのカンファレンスで扱うテーマはさまざまでした。AWSなどクラウドコンピューティングの最新技術の紹介、スマホやWebアプリケーション開発におけるベストプラクティスの紹介、あるいは、社外のビジネスパートナーに登壇いただいたDDD(Domain-Driven
Design(ドメイン駆動設計))といったモダンなテーマがある一方で、シンプレクスで10年以上使われているパッケージの変遷や技術的な特徴についての共有などもありました。
Hiroshi
「スゴイ。ワクワク。」は、SDコンピテンシーが目指す状態でもあります。
新しい技術を使って業務に取り組むとき、それによって顧客に高付加価値のサービスを提供したとき、エンジニアは「ワクワク」を感じるもの。そして、その「ワクワク」を感じながら仕事に取り組めば、一番力を発揮できると私は考えます。
一方、シンプレクスは創業以来、「『おまえらスゴイ』と顧客に言われたい」という価値観を大切にしています。課題を解決することはもちろんのこと、顧客の期待を大きく上回る付加価値を提供することがシンプレクスらしさである、ということです。
だから、「スゴイ。ワクワク。」。自分たちも「ワクワク」しながら仕事をし、力を最大限に発揮、それによって顧客に大きな価値を提供し、「スゴイ」と言われる。それこそ我々が目指す姿なんです。
CHAPTER 04 今後は、社外に向けて「スゴイ。ワクワク。」を発信していきたい。
Q:Tech Dayを2回開催した中で印象に残っていること、そして、今後の展望を教えてください。
Yuta
自分のプロジェクトで忙しい中でも、登壇者はモチベーション高く参加してくれます。それは、開催者側としてはとても嬉しいですね。また、イベント開催後のアンケートやコメントで、「実際に『スゴイ。ワクワク。』した」とか、「これからも続けてほしい」というメッセージをもらえると、開催してよかったと思います。
個人的には、新しいチャレンジとして行った、NFT(Non-Fungible
Token)という電子的なバッジを参加賞として発行した試みが印象に残っています。これは、参加者だけでなく開催者側も「スゴイ。ワクワク。」するために始めたもの。セキュリティチーム、広報、法務とさまざまな部署の協力が必要でしたが、全社一体となって前向きに取り組んでくれたことも嬉しかったですね。
とはいえ、参加人数はまだ全社員の半数程度ですので、シンプレクスの誰もが参加したいと思ってくれる、あるいは登壇したいと思ってくれるイベントにしていきたいです。
今後の一番大きい目標は、社外に向けた発信の実現です。私はシンプレクスの技術は「スゴイ」と自負していますが、その「スゴイ」をTech Dayを通じて世の中に向けて発信していきたいと考えています。
CHAPTER 05 DX推進を支援する今、SDコンピテンシーの役割はますます大きくなっていく。
Q:Tech Dayの今後をお聞きしたところで、SDコンピテンシーのこれからの展望について教えてください。
Hiroshi
今後、我々の役割期待は大きくなっていくと考えています。
最近シンプレクスは、顧客のDX推進を支援するプロジェクトを数多く手掛けるようになりました。これにより、SDコンピテンシーに求められるものに新しい要素が加わったと感じています。
それは、イノベーティブな技術や開発手法を顧客が内製化していく支援を行う役割です。DX推進をテーマに掲げる事業会社が増えているため、顧客のシステムアーキテクチャの全体的な構成や開発プロセスについて、アドバイス、コンサルティングすることで顧客ビジネスを成功に導くようなニーズはこれから確実に増えていきます。
今後は、これまで社内で活用、共有してきた技術や開発基盤などを、顧客に提供することも必要になっていくでしょう。
我々エンジニア自身も、イノベーティブな技術に今まで以上に精通し、使いこなせなければ、顧客にアドバイスやコンサルティングはできません。常に先端技術に触れ、その習得に向けてレベルアップしていくことは必須ですし、技術を全社に展開し、技術力を底上げしていくことも必要になります。
だからこそ、SDコンピテンシーの役割は、今後ますます大きくなると考えています。
社内のシステム基盤の汎用化、整備。先行して先端技術を導入・検証する研究開発的な活動。Tech Dayなどの交流と成長の機会を創出すること。そして、全社横断でエンジニアリングスキルを向上させること。これらの動きを、さらに積極的にやっていく必要があるでしょう。
CHAPTER 06 技術力のある人より、「5DNA」に共感をしてくれる人。
Q:最後に、シンプレクスのエンジニアに求めるものを教えてください。
Yuta
研修など教育をする身として、先輩として、そして、一緒に働く仲間としてお答えしますね。
エンジニアとしての技術力を大切にしたいのはもちろんですが、必ずしも現時点で高い技術力を有していないといけないとは考えていません。マインドが大事だと思っています。技術力は経験を積むごとにレベルアップすることができますが、「どのように仕事、顧客と向き合うか」というマインドは後から体得していくことが意外と難しいんですよね。シンプレクスには5DNAという行動規範がありますが、その内容に共感してくれる人と一緒に働きたいですね。
Hiroshi
私は、「知的好奇心」を有している人と働きたいと思っています。知的好奇心こそがエンジニアの成長ドライバーだと考えているので、一緒に切磋琢磨してエンジニアとして高みを目指していきたいですね。
また、担当するプロダクト、サービスをグロースさせることで顧客ビジネスに貢献する、そういったプロ意識・当事者意識も大切にしたいですね。
自分が取り組む領域や興味ある技術分野についてビジョンを掲げて、周囲のメンバーに「スゴイ。ワクワク。」を伝播していくようなベテランエンジニアの方にもお会いしてみたいです。
――ありがとうございました。